雪の光
「そう」
「まだ、あったの?」
「うん」
「あそこで終わりじゃなかったの?」
「メモ自体はあれで終わり。
……でも、これはこの前見つけた」
「この前……」
「……ごめんなさい、嘘。
本当は、あなたにメモの束を渡した時から見つけていた。
でも、……でも、どうしても、わたしは……」
その後に続く言葉は分かっていた。
私は変なところで鋭いのだ。
もっと鈍くなれれば良かったのに。
痛いくらいに分かってしまう。
「……とにかく、読んで」
渡された紙を見ると、あのままだった。
『よく分からないけれど、侑里のことを考えると「月が綺麗ですね」って言葉が思い浮かぶ。
気持ちは分からなくても、心が温まる。
月が綺麗ですね』
「……知ってる……」
言葉が零れた。
「帰りなよ。送っていくから」
「……大丈夫、1人で帰れる。ありがとう」