雪の光
ああ私、こんなにも素敵な人に大事にされていたんだ。
きっとこれを見たら彗は、「泣いてる自分に自惚れてんのかよ」なんて憎まれ口を叩くかもしれない。
それでも、私は嬉しかった。
「ありがとうっ……」
そう言わずにはいられないほど。
「……ありがとう、彗」
何度も何度も読み返す。
『月が綺麗ですね』
偶然か必然か、この言葉は私の好きな言葉だ。
誰にも言ったことはなかった。
いたいヤツと思われて終わりだと思っていたから。
言ってくれるなら、言えばよかったよ。
「……んだよ、……せ、い……」
言おうとしたのに、言葉にならない。
見てる?彗。
今日、満月だよ。
本当、月が綺麗だよね。
もしも。
もしも彗が今生きていたら。
もしもあの時の私達に気持ちがあったなら。
もしもイルミネーションをもう一度見られたなら。
もしも一緒に帰らなかったら。