雪の光
「……だけど、本当、ありがとう。
あのままだったら私、死んでた。
……変だよね、死にたいのに」
真っ直ぐに彗を見ると、彗は窓の外に目を向けた。
「……部活、行こうとしたんだろ」
「……」
「何かあるからそうなるんだろ」
うんそう、私辛いんだって言えたらどんなに良かったか。
「……彗が思うほどきつくはないよ」
自分のプライドが傷付くのが怖くて嘘をついた。
「……帰るか。一応俺、他校のやつだし」
急に現実的なことを言い出す彗がおかしくて、少し笑えた。
「そうだね、帰ろう」
制服に着替える間、彗に待ってもらって荷物を持って保健室を出た。
「ごめん、お待たせ」
「行くか」
下駄箱で靴を履き替えていると、向こう側からアミ達の声がした。
かなり盛り上がっているらしく、私に気付いた様子はない。
今のうちに。
「あれ、侑里じゃん」
アミの言葉よりも、後ろの目線が痛かった。
何かを言う訳では無いけれど、圧力をかけられている気がする。
それもきっと自意識過剰だと分かっているんだけど、一度そう思ってしまうとそのイメージがついて私の頭を支配する。