雪の光


「……だけど、本当、ありがとう。

あのままだったら私、死んでた。

……変だよね、死にたいのに」


真っ直ぐに彗を見ると、彗は窓の外に目を向けた。


「……部活、行こうとしたんだろ」


「……」


「何かあるからそうなるんだろ」


うんそう、私辛いんだって言えたらどんなに良かったか。


「……彗が思うほどきつくはないよ」


自分のプライドが傷付くのが怖くて嘘をついた。


「……帰るか。一応俺、他校のやつだし」


急に現実的なことを言い出す彗がおかしくて、少し笑えた。


「そうだね、帰ろう」


制服に着替える間、彗に待ってもらって荷物を持って保健室を出た。


「ごめん、お待たせ」


「行くか」


下駄箱で靴を履き替えていると、向こう側からアミ達の声がした。


かなり盛り上がっているらしく、私に気付いた様子はない。


今のうちに。


「あれ、侑里じゃん」


アミの言葉よりも、後ろの目線が痛かった。


何かを言う訳では無いけれど、圧力をかけられている気がする。


それもきっと自意識過剰だと分かっているんだけど、一度そう思ってしまうとそのイメージがついて私の頭を支配する。


< 38 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop