雪の光
「……うるさい、なあ。
関係ないでしょ、私と彗は。」
「……いつまでも意地張ってると、気持ち、分からなくなるぜ」
「……どういうこと?」
「そういうこと。」
「全然分からない」
「自分で考えてみれば思い当たるんじゃねえの」
分かる気はする。
自分のどういう所が良くて、どういう所が問題なのか。
だけど、私は現実から目を逸らしたくて分からないふりをした。
「彗は凄いよね。
自分の気持ちを分かっていて」
歩道橋からせわしなく往来する車を眺める。
冬の夜は長く、もう真っ暗でオレンジ色はほとんどない。
車にはライトが鮮やかに灯っている。
「……俺、感情ないから。
気持ちがない」
全ての灯が消えたような告白だった。
絶望とも、悲しみとも、怒りともつかない気持ちが私の中で迷子になっている。
「朝日を見て綺麗とか、遊園地に行って楽しいとか、美味いもの食べて幸せとか、ホラー映画を見て怖いとか、身内が死んで悲しいとか、何も感じない。
小さい時から」