雪の光
「……うん」
平静を装ってそれだけ言うのが限界だった。
もっと聞きたいことはある。
私が倒れていた時も何も思わなかったの?
死にそうな人を助けて安心したって思わないの?
うざい人がいても気持ちは乱れないの?
泣いたり、しないの?
だけどそれは彗にとって見れば私の自己満足でしかない。
彗を困惑させるだけ。
「侑里なら、分かってくれるんじゃないかって思った」
「……最初から、私が感情をなくしていたことを分かっていたの……?」
「嬉しいとか、幸せとかいうプラスの感情を出していなかったから、ただ感情を出すのが下手なだけかと思っていたけれど、違ったみたい。
……泣けてないんだろ?」
「……冷たいでしょ、泣けないとか」
「俺の方が冷たい」
「そんなふうに擦り付け合うのは私嫌いなんだ。
泣けないのは、……気持ちを出せないのは、誰のせいでもない」