雪の光


私の嘘を知ってか知らずか、何も言わずにいてくれたことに胸をなで下ろした。


教室に入りながら、千夏はもう放課後のことで頭がいっぱいになっているみたいだけど。


鼻歌まで歌ってとても幸せそう。


クラスメイトに挨拶をしながら席に着く。


……彗に会いたいかも。


どうしてか分からないけれど、唐突にそう思った。


クリスマスが心を浮つかせているだけかもしれない。


まずは目の前の授業に集中しよう。


授業が終わってから連絡をすればいい。


教科書を出して準備をしているとちょうど先生が入ってきた。


「クリスマスだからって浮つくなー。

赤点取って留年して大学落ちても知らないからな」


……まただ。


毎日洗脳のようにこんなことを言われ続けるこっちの身にもなれって思う。


ここの高校の生徒は少しも浮ついてはいけないのか。


苛立ちを覚えながら教科書をめくった。


< 44 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop