雪の光
「……雪」
「すげえ」
「ホワイトクリスマスだね」
私たちは歩いて街の中心へ向かった。
無言だけれど、嫌な気はしない。
むしろ、話している時よりも今はこの瞬間が心地いい。
角を曲がると、イルミネーションの光が漏れてきた。
まるで宝石箱のように、赤、緑、金、白、青、いろんな色がある。
「……これが、綺麗って言うんだよな……」
隣で彗が怒られるのを恐れる子供のように自信なさげに言う。
「……たぶん、そう。
これが、綺麗」
さらに歩くと大きなツリーが目の前に現れた。
「……すごい。
私、こんなものがあるなんて今まで知らなかった。
ありがとう、来てよかった」
「前に来たことがあるんだよ。
都会のちょっと穴場」
穴場を知っているだけなのに、彗が同じクラスの男子生徒よりも大人びて見える。
彗を見ると、男子の割には白い肌がいろんな色で彩られていた。
何かの芸術作品を見ているような気持ちになる。