雪の光
「……ごめん、やっぱり私、分からない。
せっかく、恋してもらっているのに」
「一方的なものだから、いい。
無理に好きになろうとしなくてもいい」
嬉しくなることを言われているのは分かるのに、私は喜ぶことを知らない。
彗は、もう私と同じ所にはいないのだ。
きっと彗を変える強い何かがあったのだろうけれど、私はそれの存在を認めたくなかった。
もう私の気持ちをわかってくれる人は誰もいないのだ。
「……自分ひとりだけが気持ちよくなろうなんてことは思っていない」
はっきりと言い切った。
彗を見ると、続けていう。
「自分だけが楽しい気持ちとか、自己満足でしかないし、侑里が苦しいだけだろ。
……待ってるから」
「……私、嬉しいとか楽しいとか、全然分からないけれど、彗が楽しい時は言ってほしい。
同じ景色を見ていたい」
好きとか嫌いとか嬉しいとか楽しいとか何も分からない。