雪の光


「侑里、話し合いがあるからこっち来てくれない?」


……またか。


「……いいよ」


正直この話し合いは面倒で仕方がない。


毎回結論と言えるような結論が出た覚えはなく、最後は後輩やコーチの愚痴大会で終わってしまう。


だから最近では途中で抜けることが増えている。


来たのは私が最後だった。


「……で、今日は後輩の役職決めをしようと思うんだ。

キャプテン、副キャプテン、部長、副部長をとりあえず決めたいんだけど、誰がいいと思う?」


今のキャプテンのアミがみんなに聞く。


「……テニスのうまさなら、新村さんじゃない?」


副部長のナオが言う。


私もそう思う、と言おうとするけれども声がうまく出ない。


この空間に来ると、いつも声が出なくなる。


理由は単純で、私に友達と呼べるような友達がこの部活にはいないから。


「あたしもそう思う」


「わたしもー」


「あーでも松川さんもキャプテンいけると思うんだけど」


「あの子は部長っぽいよー」


「わたしは松川さんもありだと思うよ」


「やっぱりあたしは新村さんかなー」


「どうしようか」


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