雪の光
本当に迷っているみたいだった。
たぶん、この迷っている彗が本当の彗だと思う。
初対面の時に見せた、自信たっぷりのあの姿は、自分の内面を決して人に見せないためだと思う。
でも、困っている人を前に、私は何かを感じるわけでもないし、どうすればいいか分からなくて、思考回路が停止してしまうのだった。
「……本当だよ」
その一言の意味だけは分かった。
「……うん」
気付くと、ツリーの色が変わっていた。
大人っぽくゴールドやホワイトを基調にしていた。
息を吐くと、ツリーの灯が柔らかくなった。
「……帰ろう」
「そうだな」
私たちは何事もなかったかのように来た道を戻った。
雪は止んでいた。
星が瞬いている。
誰も踏んでいないところを歩くと小さい頃を思い出す。
「雪が降ると、世界には俺しかいないっていつも思うんだ」
何となく分かる気がする。
「……夜の雪って好き」