雪の光
授業を受けていても、前の方に座っている千夏が気になって仕方がない。
ただの思い込みに決まっている。
そう思いたくても、思えない。
あの後、千夏に国語で分からないところを聞いた時もどこかよそよそしくて、まるで早くどこかへ行けというような雰囲気を出していた。
お昼ご飯を食べるために教室を出た時も、見られている気がした。
まともに栄養も睡眠も取れていないことも変に神経が張り詰めている原因のひとつかもしれない。
「……か、月岡」
「あ、はい」
「この問題、分かるか」
べらべら教科書をめくるけれど、話を聞いていなかったから分からない。
「……わかりません」
「え?この問題だぞ?」
「……わかりません」
ひそひそと囁いている気がした。
私の隣でも、いちばん前の席でも。
だけど、先生が授業に戻るとぴたりとその声は止んだ。
なにか、私はしてしまったのか。