雪の光
「まだ分からないの?馬鹿だね」
その時、アイリはバケツを持ち上げて、私の頭上に落とした。
世界が歪んだ、と思っていると、次の瞬間何かが顔を伝っていた。
ガッシャーンと派手な音がして、それでようやく我に返る。
「アハハ、ばっかじゃないの!
ずっと見上げているとか、頭おかしいでしょ!」
「やっぱりこいつは馬鹿だったー」
「後片付けよろしくね、美術でここ使うらしいから」
ばたん、とドアが閉まる音を聞いた時、動かしてもらえなくなったあやつり人形のように床に座り込んだ。
……私、何かした……?
何が問題で、何が問題じゃないの?
私を中心に、水が流れる。
なんで水なんか被っているの……?
そこまで考えたところで、無気力になった。
全部どうでもいい。
そうだよ、このまま私は死ねるんだ。
こんな真冬に水被って薄着でいれば、本当に死ねる。
凍死なんて少しださいけれど、それでも死ねるなら構わない。