雪の光





どれくらいそうしていたか分からない。


チャイムだって何度も鳴っていた。


私は再び仰向けになって空を眺めている。


綺麗だな、とか生きてて良かったな、とか特に何も感じない。


……もしも彗なら、空を見て美しいと思える日が来るのだろうか。


このまま、彗が感情をどんどん理解するようになったら、私はどうして行けばいいか分からない。


騒がしい音が聞こえる。


今は昼休みか、放課後かもしれない。


結局、ここには誰も来なかった。


美術の授業さえなかった。


誰一人、階段を上ってくる人はいなかった。





ばたん、と大きな音を立てて誰かが入ってきた。


ここでお弁当を食べる人かもしれない。





……違う。


私は何かに包まれていた。


「……良かった、ここにいて……」


……どうして、ほとんど話したことのない私にこんなに優しいの……?


なんで分かったの?


なんで抱きしめられているの?


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