雪の光
「……ごめんなさい、迷惑かけて」
「全然大丈夫だから」
春川くんが笑って言う。
「今日からここが月岡さんの居場所だよ」
……居場所。
その言葉がじわりと私の心を照らす。
もう戻らないと思っていた心が戻ってくる感じがする。
「……本当に、いていいの?」
「うん」
「私といると、大変だよ?」
「構わない」
「たくさん迷惑かけると思うけど、いいの?」
「うん」
「疲れない?」
「平気」
「……本当に?」
「うん」
もう言葉にならない。
伝えたいのに、伝えきれない。
「……よろしく、お願いしますっ……!」
深く礼をすると、涙が溢れる。
何年ぶりだろう、泣くなんて。
何年ぶりだろう、生きていると思えるなんて。
「こちらこそ」
前を見ると、午後の光を受けて春川くん達が笑っている。
「戻ろうか」
その言葉を合図に教室に戻っていった。