秘密と嘘の御伽噺
先程まで一緒に登校して今は窓際の席で
友達と楽しそうに話している裕貴をちらりと見れば
私にしかわからないように
にやりとした顔を浮かべ、私に歩みよってくる
「 有紗 」
『 どうしたの? 』
「 ちょっと来て 」
『 なにいきなり 』
キャーーと悲鳴を上げる女性を放置し
私を席から立たせれば
冷やかしの声や憧れの眼差し
憎しみまでもれなくついてくるそんな視線に背を向けて
私の手を引いて教室をあとにする彼に
少し小走りになりながらもついて行く