モモちゃんに溺れる
「ねえ、どうしたら泣き止む?」

10分くらいずっとこうしてるけど、全然涙はとまらない。

「わかんない・・・。」

そう言って彼女は、俺の胸に顔を押し付ける。

おいおい、俺の服はハンカチじゃないぞ?
これ、気に入ってるんだけど。

でも、俺から引き寄せたし、クリーニング代は自前かな?

彼女を見下ろすと、彼女も俺を見上げた。

「マスカラ、すごいことになってるよ?」

「うそ、見ないで。」

顔を伏せようとする顎に手をかけて、下を向かせない。

「やだ、見る。」

もう片方の手で、見事に落ちたマスカラをティッシュではらってやる。

「綺麗になった。」

「ありがと。」

気まずそうに目だけそらす。
やっぱり子供みたい。



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