モモちゃんに溺れる
顎に手をかけたまま、
そのままそっと、彼女の唇にキスをした。

「なにするの?」

口調ほどは驚いていない表情。

「キス。」

「なんで?」

「なんとなく。」

「遊び人?」

「ちがうけど。」

うん、違う。

俺は、どっちかというと年齢に似合わずそっち方面の興味が薄い。

それよりも、一人で趣味に時間を費やしたい。

だから俺にもわからない。

ほんとになんとなく、してしまった。

「涙、止まるかと思って。」

「なにそれ。口実にしか聞こえない。」

「うん、俺も。」

そういうと、また彼女は笑う。

その笑顔、いいな。

そう思って、またキスをする。


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