モモちゃんに溺れる
俺も立ちあがり、モモちゃんのもとへ行こうとした。

「ソウ。」

それを制止するかのように、モモちゃんは俺の名を呼んだ。

「わたしね、」

名を呼んだときは、凛とした声だったけど
次からは、元の穏やかな声になった。

呼ばれたときは、なにか重大なことでも言われるのかと思ったけど、そうでもなかったのかな。

仕方なく、俺はまたテーブルに戻り席についた。

まだ、チャーハンが残ってる。

「まだ、ソウに言ってないことがある。」

「なに?」

「ふふっ。なんか、ソウにはなんでも言えちゃうな。」

「なんだよ、それ。褒めてるの?」

「うん、たぶん。だって、出会ったばっかりなのに不倫してフられた話なんて、普通する?」

まあ、しないかな・・・。

「ごめんね、ほんと。なんか、話しやすいの。」

「いいよ。」

話しやすいって、それ、心開いてるってことでしょ?

モモちゃんのことならなんでも知りたいし、俺が一番の理解者になりたい。

だから、

「で、なに?言ってないことって。」

「うん、わたしね。」

モモちゃんは、自分の分を洗い終えて、
皿を拭きながら、顔だけ振り向く。

そして、少し微笑してから、言葉を発した。

「3か月後に、結婚するの。」




< 38 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop