モモちゃんに溺れる
「離して。」

強がりか知らないけど、そう言っていた。

モモちゃんは自分のことは棚にあげて傷ついたような顔をする。

その表情にもまた胸がなる。

なんなんだよ、この人。

結婚するくせに。他の男が好きなくせに。

腹立つ。本当にムカつく。苛つく。

なのに、触れたくなる・・・

「ごめん・・・。」

モモちゃんのつぶやいたような謝罪の言葉が耳に届いたとき・・・

反射的に体が動いていた。

「・・・きゃっ」

気づけば、モモちゃんを床に押し倒していた。

そしてそのまま唇をふさぐ。

「ん・・・っ」

昨日散々堪能した唇。甘い唇。

舌を侵入させて、ちゃんと息もせず、ただむさぼるキス。

苛ついて、苛ついて・・・むちゃくちゃにしたい。

怒りと、あと嫉妬。

この人は手に入らないと思っても諦められない虚しさ。


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