モモちゃんに溺れる
田口はさっきの子が行ったのを確認して俺の方へよってくる。

「今の子、去年のミスコンじゃね?」

「そうなの?」

「知らねえのかよ。」

だって俺学祭来てなかったし。

自分のことも知らなかったのに知るわけないじゃん。

いろいろ思ったけど軽く首をかしげるだけにとどめる。

「蓮と同じ他薦で選ばれて、本人は全然興味ないって感じ。

確か家がでっかい病院かなんかで、すげえお嬢様って噂。

しかも入試は主席合格であの美貌だろ。才色兼備だよな。」

「ふーん。」

あんま興味ない。

「名前なんだったかな~確か下はゆきちゃん?だっけ。」

「へえ。」

「興味なさそう・・・。

でもあの子と似てるなんて、そのモモちゃん?も綺麗なんか。」

「いや、モモちゃんは可愛いよ。めちゃくちゃ。」

俺はそれだけ言って今度こそバックを担ぎ、学食を後にした。

似てるけど、別人。

モモちゃんは、可愛い。

あと、あの子のようにまっさらって感じじゃない。

真っ白だけど、ドロドロしてる。

そこに、どうしようもなく惹かれる。





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