モモちゃんに溺れる
「ミルクティーとキャラメルラテですね。」

「はい!」

「ありがとうございます。お待ちください。」

にっこり笑ってその場を去る。

背中越しに聞こえてくる会話。

「今の人?ミスターK大って。」

「そうそう!超かっこよくない?」

「やばいね~!!」

小声で話してるつもりだろうが、逆にそのほうがよく聞こえること、彼女たちは知らないんだろうか。

俺がミスターになってから、確実にそういう目的で来る女性客が多くなった。

見世物にされるのは、一番嫌いだ。

静かに生活したいのに。

でも、ありがたがっている店長の手前そんなことも言えない。

なんだかんだ店長には本当に世話になっているし、長い付き合いだし。

まあさすがに、女性向けファッション雑誌の取材の話は丁重にお断りしたけど。

みんな、顔だけでなんであんなに騒ぐんだ。

そんなに見た目って大事か?

・・・って、俺もモモちゃんは最初見た目だったか。

100%まではいかないけど、見た目は重要だよな。


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