モモちゃんに溺れる
「あー待ってくださいよ!」

足を速めた俺に少し小走りでついてくる。

「ちゃんと女が好きなら、タイプくらい教えてくれてもいいじゃないですか~!」

タイプ、ねえ・・・

俺は少し考えてから「惹かれる人。」と答える。

「なにそれ。[好きなタイプは好きになった人]ってことですか?」

「まあ、そんなとこ。」

実際答えようがない。

可愛い方が好きだけど、藤井さんのことは好きじゃないし。

モモちゃんのどこがっていうより、モモちゃんが好きだから。

「難しい!!じゃあじゃあ、今好きな人いるんですか?」

その質問に一瞬足を止めそうになった。

その動きを彼女は見逃さない。

「いるんですか~~~!!!」

悲鳴にも違い雄たけびに思わず耳をふさぎたくなった。

うるせー。

「由香、ショックなんですけど~!

てか、好きな人はいるのに彼女はいないって、え?片思い?え?蓮さんが!?」

一人で困惑しだす。

片思い、か。まあそうなんだけど、そんな綺麗な言葉で語っていいのか?

「蓮さんみたいな人をフる女って誰ですか!?」

フられてはねーし。おんなじようなものだけど。


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