モモちゃんに溺れる
「なに勝手に話すすめてんの?俺別に肯定なんてしてないけど。」

「そうだけど~でも、態度でわかっちゃったんだもん!

それに、好きな人いるなら由香になびかないのもわかるし。」

モモちゃんに出会う前から君にはなびいてないけどね。

「片思いなら、由香でいいじゃないですか~蓮さ~ん!」

触ろうとしてきたから素早く回避。

「もう!相変わらず隙がない!」

「キミも相変わらずしつこいね。」

「なにそれひどい!由香はただ蓮さんが好きなだけなのに。」

俺の"顔が"でしょ。

そんなのにいちいち付き合ってたら疲れる。

やっと駅が見えてきて、二人一緒に改札をくぐる。

「じゃあ、気をつけてね。もう暗いから。」

「あ~蓮さん!さっきまで冷たかったのに、帰り際の優しい言葉とかずるいです!」


「いや、これくらい普通でしょ。藤井さん、女の子だし。」

「好きです、蓮さん。」

なんでこの流れでそうなる。

飽きれながらも「どうも。」とまた流す。

「本気なのに~あ、そうだ!壮太朗さんって呼んでいいですか?」

なんでだよ。

「無理。長いし、苗字のが呼びやすいでしょ。」

「じゃあ、壮さん!」

____ソウ。

藤井さんの言葉は、今朝俺を呼ぶモモちゃんの言葉を想起させてハッとする。

「・・・藤井さん、本当に『ソウ~~~!!!』

うわっ!!

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