モモちゃんに溺れる
「どういうこと?なんで?てか相手いくつ?」

「質問多いですって。」

「いやだって意味わかんねえだろ。いやわかるか・・・。」

大智さんは、ふと冷静になった。

「好きになるのに、そういうの関係ねえよな。」

まるで自分のことのようだ。大智さんにも過去になにかあったのかもしれない。

「6つ上のお隣さんで。出会った初日、彼女泣いてて、なんか話聞いてるうちに、妙な雰囲気になってそのまま・・・。」

「え?食っちゃったの?」

気まずい気分になりながらも正直に頷く。

「蓮って見た目の割りにオオカミだったんだな。」

「普段は違うんですけど、本当にはじめてで。なんか抑え効かなかったっていうか。」

「男は本来そういうもんだからな。」

男のあれでもない気がするんだけど。

モモちゃん以外が泣いてたとしたら、ああはならなかったと思うし。

「それで、翌朝に婚約者がいるってことを知って。

でも俺、我慢できなくて・・・その後もずるずる。」

「セフレ?」

「やっぱりそうですよね。」

現実を突きつけられて少なからず落ち込む。

大智さんはしまったという顔をしてから、お酒をもらってきてくれた。

「まあ飲めよ。」

ひとこと礼を言ってからウイスキーを流し込むと、まだ不慣れな21の体はすぐに熱くなる。

俺って子供なんだよな。


< 70 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop