モモちゃんに溺れる
目の前にいたのは、俺と同じくらいの年の女。

胸元まである黒いストレートの髪に、白い肌。

少し釣った大きな目と通った鼻筋。

一言でいうと美人。あと全体的に細い。

なんかこの子、どこかで・・・?

「ゆきちゃん?」

聞き覚えのある声に目の前にいる彼女と二人、声の主の方へ目を向ける。

「お姉ちゃん!」

・・・え?

「どうしたの、いきなり来て。来るなら連絡してよ~。」

モモちゃんはそう言いながらも、その子にちかづきうれしそうにぎゅっと抱きしめる。

いや、モモちゃんのが背が低いから抱き着く、の方が正しいか。

「えっと、モモちゃん?この子は・・・」

「あ~ごめんね、ソウ。妹の千愛(ゆきめ)。」

まじか。妹・・・

確かに、どことなく似ている・・・てか、

「あ!!!」

抱きしめられて苦しそうにする彼女の顔をよく見て思い出した。

「キミ、俺と同じ大学じゃない?」

いつか、田口と食堂にいるときにカバンがぶつかったのを思い出した。

あの時、なんか似てると思ったけど、そうか妹だったのか。

「ちょっとお姉ちゃん、離して!」

鬱陶しそうにモモちゃんから逃れ俺をにらむ。

「そうだけど。」

なんでそんなに感じ悪いんだ?

「あ、まえいきなり腕つかんじゃったことならごめんなさい。」



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