モモちゃんに溺れる
「そんなことがあったの?

二人知りたいだったんだね。」

「いや、知り合いではないけど。

たまたま食堂で会って、モモちゃんになんとなく似てたから引き留めちゃって。」

説明してからまた妹を見るけど、俺と目が合う前にそらされた。

「どういうこと、お姉ちゃん。」

「なにが?」

「なんでお姉ちゃんの部屋からこいつが出てくるの。」

あ・・・。そういう、ことか。

その言葉でやっと理解した。

妹なら、姉に婚約者がいることも知っているに決まってる。

なのに、部屋に他の男がいたら、そりゃそうだよな。

こんな態度とられるのもわかる。

「あ、えっと・・・」

モモちゃんもやっと把握したらしく気まずい笑みで「ははっ」と笑う。

「と、とにかく二人とも中入って。」

妹の様子をうかがいつつも、俺たちの背中を押し扉を閉めた。
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