モモちゃんに溺れる
「ゆきちゃんお願い!

話を聞いて!」

「聞かない。聞きたくない!!

もうお姉ちゃんとは会わない。」

「え?」

「蓮との関係を切るまで、もうお姉ちゃんとは会わないから!」

バタン!!!

・・・・。

「・・・・・。」

「・・・・・。」

閉められた玄関を見て、モモちゃんはしばらくなにも言わなかった。

俺も、かける言葉が見つからなかった。

それに怖かった。

なにか言ったら、その次に帰ってくる言葉が怖かった。

「ごめん、ソウ。」

怖い・・・・

やめろ。

いうな。

その先は・・・

お願い、言わないで。

振り返ったモモちゃんの目には、涙がたまっている。

「ごめんね。私・・・間違ってたよね。」

「モモちゃ・・・」

手を伸ばしたい。

彼女のそばへ行って、泣いてる彼女を抱きしめたい。

でもできない。

彼女もきっと望んでない。

「ごめん、ソウ。私たち・・・」

やめろ・・・嫌だ。

やめてくれ。

「・・・聞きたくない!!!」

ただのガキだ。こんなの。

でも、俺にはこうする以外にどうしたらいいかわからない。

だって、その言葉をモモちゃんの口から聞いたら、もう・・・・

「ソウ!!」

「嫌だ!」

逃げだってわかってる。

なんの解決にもならないって。

でも・・・

俺はその場にある自分のものを目に付く範囲でまとめて、

「ソウ、待って!!」

モモちゃんの言葉から逃げるように、

ただ、その言葉を聞きたくなくて

本当に逃げるように、モモちゃんの部屋を後にした。

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