モモちゃんに溺れる
だから俺は少し助け船のつもりで、こっちから切り出すことにした。

「あのあと、モモちゃんは俺に別れを告げようとしたけど、俺が聞かなかった。」

俺の言葉に、少しびっくりしたように体を震わせながら視線を向けてくる。

「俺は、モモちゃんと関係を切るつもりはない。」

「なんで!」

表情にまた敵意が強まる。

「お姉ちゃんがもうすぐ結婚すること知ってるんでしょ?」

「知ってるよ。」

「だったらなんで?略奪でもする気?」

相手の言葉に、意図せず笑えてくる。

略奪か・・・

そりゃできたらいいけど。

それを本気で考えるほどの子供にはなりたくない。

無理だってちゃんとわかってる。

「まさか。

でも、今はまだ離れたくないだけ。」

そう、ただ一緒にいたいだけ。

リミットがあるなら、それまででいいから。


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