それでももう、貴方以外考えられない。
「その…いつでも、戻って来いよ。待ってるから。」


目を逸らしてそう言う優斗は、耳まで真っ赤に染まっていて。


それがなんだかおかしくて、笑ってしまった。


「おまっ、笑ってんじゃねぇよ!」


「ごめんごめん、優斗が照れてるから…はははっ」


「お前なぁ…。あ、永田待ってる。」


永田先生は、すでに職員室の前に立って、私達を待っていた。


「遅いぞ、お前ら。これから1年間、本当に学級委員やっていけんのか?」


自分がテキトーに決めたくせに、理不尽すぎる。


「まぁいい。春野、あー優斗の方、配布物取りに来い。」


優斗が永田について行くのを気の毒そうに見守って、私はドアの前に立ちつくした。


ほんとに永田、人使い荒いんだから。


「あ、不法侵入者発見。」


不意に後ろから声をかけられてふりむくと、そこには法師山先生が。


「おはようございます、先生。よく遅刻しませんでしたね。」


「うるせーよ、勝手にひとん家あがんな。」


「やっぱりダメでした…?でも、鍵が開いてたので。」


「まぁいいけど…どこの家もホイホイあがんじゃねーぞ?」


「そんなことしませんよ!」


全くこの人は、何を言い出すんだか。





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