それでももう、貴方以外考えられない。
「せんせー、明日お弁当一緒食べよー?」


「あ、ずるい!私が先に約束したのに!」


心結と2人で廊下に出ると、沢山の女子が群がっていた。


きっと、あの中心にいる人は…


「悪いな、俺男子と食べる約束してんだわ。」


やっぱり。


予想通り、法師山先生だった。


うう、通りたくない。


こういう時、本当に困る。


挨拶した方がいいのか、黙って通り過ぎた方がいいのか。


でも、校舎を出るにはここを通るしかないし…。


よし、黙って横を通り過ぎよう!


私達はアイコンタクトを取り合うと、しれーっと人だかりの隙間を通り抜ける。


よし、通り抜けた…と思った、その時。


「あ、春野。ちょっといいか?」


…なんで、よりによって今?


なんで人だかりの中心の人が今話しかけてくんのよ!!


少しはこっちの気持ちも考えて欲しい。


ほらほら、みんなこっち見てるって!


「春野?聞こえてんだろ?ちょっと来い。」


私は自分にしか聞こえない程度に溜め息をつき、先生について行った。


「なんであの中で声かけるんですか!」


「わりぃ、ちょっとめんどかったから。」


「人を道具みたいに扱わないで下さいよ。」


軽く睨むと、先生は少しも悪びれる様子もなく笑った。


「いや、本当に用事はあったんだ。」


「どうかしたんですか?」
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