それでももう、貴方以外考えられない。
前に立ってる、サラリーマンのおじさんの…手、だ。


ウソ、怖い…。


「…あ、あの…」


私はやっとの事で声を振り絞った。


すると、その人はパッと手を離した。


「なにか?」


なにかって…。


「まさか、私が胸を触ってたとでも言いたいんですか? そんな、自意識過剰な」


冷たくそう言い放たれる。


ていうか、満員電車だから仕方ないのかもしれないけど、近い…。


この人から、早く離れたい。


でも、降りる駅はまだまだだし…。


その時、誰かが間に割り込んできた。


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