セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「ねぇ、奏音は彼氏いる?」
「い、いないです。里穂が羨ましいです」
「そうなんだーじゃあ、俺と付き合わない?」
へ?
まだ会って30分位しか経過してないよ。
何言ってるの?
頭のネジはずれてる?
私は思考回路がストップした。
「…」
「なになに?聞こえたよー奏音付き合っちゃいなよ」
いきなり、里穂が話に飛びついた。
何よ、イチャイチャしてたくせに。
親友の私、ほっておいて。
「ね、玲於いいよね?」
玲於に話を振る里穂。
「奏音ちゃん、翼は、マジいい奴だよ。翼がそんなこと言うなんて珍しい。よっぽど奏音ちゃんを気に入ったんだよ」
玲於は、ものすごく真面目に翼との交際を勧めてくる。
「奏音、ほら、返事しなきゃ。翼、奏音のこと、よろしくお願いします」
「ちょっと里穂……さっき会ったばかりなんだよ」
戸惑う私。
「時間なんて関係ない」
翼は、ピシッと答えた。
カッコイイ!
カッコイイけど…
こんなんありなの?
翼の黒眼鏡が私の心を見透かしているようだった。