セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「頼む。サインしてくれ」


「ご、ごめんなさい。理解出来ない。帰る」


帰るー
って、私はどこに帰ればよいの?
私の動きは止まった。
どうしよう?


「もう帰るとこないよ」
里穂が冷酷に言ってきた。


「マンションくらい用意してやるから、そこへ行け」
さらに冷酷に翼が言ってきた。



「だったら、今すぐ住むとこ用意してよ」

私は涙でぐちゃぐちゃになった見苦しい顔で声を張り上げた。



「わかった。すぐに用意する。だから、サインしたら、今すぐ出ていけ」



「サインくらい、引っ越したら、すぐにするわよ」
私はその場の勢いに任せて、ついに離婚届を書く意志を出してしまった。





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