セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「おい、何してる?」

誰かが私の服を引っ張る。
誰かが私を階段から引きずり落とす。

誰?

誰よ?


「奏音、遅くなってごめんな。大丈夫か?里穂から全て聞いたよ」


サラサラのブラウンの髪の毛が私の顔に当たる。


「玲於?玲於なの?どうして?」

私は息を荒あげた。

「奏音、しっかりしろ。もう俺が居るから大丈夫だ」
玲於は、私をがっしりと抱きしめてくれた。


「え?玲於は里穂の味方……」


「違う。俺は奏音の味方だ。俺もあいつには散々騙された。とにかく部屋へ戻ろう」


玲於は私を抱きかかえたまま、マンションの部屋に入った。



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