セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「ピンポーン」
え?
こんな時間に誰だろ?
「ん?えぇー?」
インターフォンに映し出された姿を見て、私はおのめいた。
「玲於……なんで?」
ピンポーン
再び押されるチャイム。
「はぁーぃ。ちょっと待って下さい」
私は慌てて玄関の扉を開けた。
間違いなくそこには、玲於1人の姿があった。
「ど、どうしたんですか?」
「いや、挨拶にね」
玲於は、ものすごくニヤニヤしながら言った。
「はぁ?」
私は、全身クエスチョンマーク。
「明日、俺、隣りに引っ越してくるからさ。よろしくな」
「へ?なんで?ってか私が隣りって知ってたんですか?」
不気味に感じた。
「もちろん。だから、来たんだ」
「は?」
訳が分からない。
「あ、里穂には、内緒ね。絶対だよ。約束!」
玲於は、両手を胸の前で合わせて、私にそう言った。
「……」
「お願い」
また、力強く声を荒立てて言ってくる。
本当にモデル?思わず疑ってしまうほどの微妙な姿だ。
「ちょ、ちょっと近所迷惑なんでー」
「約束してくれたら帰るよ」
「わかりました。でも、すぐにバレますよ。里穂、よくここに来ますし」
私は冷静に対応した。
「大丈夫。上手くやるから。これ、俺の番号ね。よろしく」
玲於はそう言い放つと、あっという間にその場を走り去って行った。
なんの為にここに?
どういうこと?