セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
私はバタバタしながらもようやく仕事に出かける準備が出来た。
外はまだまだ騒がしい。
玲於はなんでこんな狭いマンションに引っ越しできたんだろう?
モデルなのに。
お金あるでしょ?
恐る恐る扉を開けた。
「奏音ちゃん、奏音ちゃん」
私は体をビクつかせた。
「……は、はい」
「奏音ちゃん、手伝ってよ。何でもご馳走するからさ」
妙にハイテンションの玲於。
「はい?私は仕事です」
「仕事なら、有給取りなよ」
「……は?」
さすがの私も玲於の身勝手な発言と行動に呆れる。
「あの、ところで、翼はこの引っ越しは知ってるんですか?」
私は、ずっと昨日から、気になっていたので、思い切って聞いた。
「ああ、翼も知らない」
玲於はいきなり顔が真面目になった。
「あの、なんで?なんで私の隣りなんですか?」
もはやミステリーの世界だ。
「決まってるじゃん。奏音ちゃんの事好きだから」