セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「いらっしゃいませ。国木田様、いつも御来店ありがとうございます」
上品な清楚な感じの店員さんが言った。
「この子に合う服、靴、ジュエリー選んでやってくれ」
翼はめちゃめちゃカッコよく言い放った。
「はい、かしこまりました」
「えぇ?私、いい、いいです」
翼と店員さんを交互に見ながら訴えた。
「いいから、奏音は黙ってろ」
「そうですよ。お任せ下さい」
2人そろってやる気満々。
私は言われるがまま、着せ替え人形になった。
「こちらの青いドレスが映えますね。靴もお揃いのデザインありますし」
「うん、だいぶ華やかになったな。イメージも変わった。よし、これでお願いします」
「ネックレスとピアスはこちらのダイヤがオススメですね」
店員さんが私につけてくれる。
重い。
こんな高い服着たことない。
こんな高い靴履いたことない。
こんな高いジュエリーつけたことない。
何なのこれ?
いいの、私?
「そのまま着て行かれますか?」
どこまでも上品な清楚な店員さん。
「はい、もちろん」
翼は即答した。
「あ、あの、私困ります」
私は、心の動揺を隠せずにいた。
「黙ってろ。奏音は俺の彼女だろ?」
「……」
私は躊躇いを隠せずにいたが、
「ありがとうございます」
と伝えた。