セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
何これ?
めちゃめちゃ高い高層マンションなんだけど…
思わず顔を天高く向ける。
エレベーターは、53階で止まった。
翼はずっと私の腰に手を回している。
私の心臓は破裂しそうになる。
しまった。
勢いで来てしまった。
もはや後悔しかない…
「はい、どうぞ」
「お、お邪魔します」
一歩一歩噛み締めて私は歩いた。
広い玄関、リビング、そして何よりも一面に見えるキラキラした夜景、その中に東京タワーがさらに際立って見える。
「わぁー素敵。綺麗」
思わず窓際に走り寄る。
「気に入った?ここに入った初めての人だよ、奏音」
「え?本当に?」
信じられない。
私は夢でも見てるのかな?
やっぱ全てがカッコイイ。
「ちょっとワインでも飲もうか?」
「……あ、はい」
「好きなとこ座って」
嬉しそうに優しく言う翼。
私は夜景を眺めながらフワフワのかなり高価そうなソファーに腰掛けた。
「奏音、出会えて嬉しいよ。初めての夜に乾杯」
とろけそうな歯の浮くセリフ。
「は、初めての夜?」
私の鼓動はさらなる高まりを見せた。