セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「……ん?温かい…」
私はハッとして飛び起きた。
遮光カーテンのせいか、朝日で目が覚めることがなかった。
「…おはょー奏音」
翼が私のおでこに軽くキスをした。
私は昨夜の一連の出来事を思い出しパニックになった。
「あ、ああ、仕事行かなきゃ……」
本当は今日は遅番だったが、思わず自分を誤魔化すために言ってしまった。
「ああ、送るよ」
朝から爽やかな翼。
「ああ、大丈夫だから」
「大丈夫じゃない。大切な人はきちんと送り届けるよ」
どこまでも紳士的な翼。
「ありがとう」
私は感謝を込めて言った。