セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「あ、翼、私の両親には会わなくて良いから…ちょっと疎遠になってて」
「なんで?」
「ごめんね。1人で生きてくって家を出てるから」
私は初めてこのことを他人に話した。里穂も知らない事実だ。
「そっとしといて。お願い」
「うーん、そか、残念だが、奏音の気持ちを尊重するよ」
翼は内心は納得してないようだったが、一応理解を示してくれた。
「よし、これから忙しくなるぞ」
翼は、白い歯を見せて笑った。
「じゃあとりあえず今日は帰る」
「あ、うん。ちょっと待って」
私は家の扉を開け、左右を確認した。
よし、今なら大丈夫…
「気をつけてね」
「うん。ごちそうさま。また連絡する」
翼は一段とカッコイイ後ろ姿を見せていた。