セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
翼の荘厳な実家を出ると、翼は今から玲於達に報告すると言い出した。


私は全く知らなかったのだが、2人にアポは取ってあったようだ。


「どこ行くの?」


「俺らが初めて会った店」
一連の流れを思い出させる。

「へぇーそうなんだ。いいね」
私は懐かしささえ感じた。


「2人ともびっくりするだろうな」
翼は目を大きく広げながら言った。


「……だよね」
私は、やっと玲於から開放される気がして少し安堵感を抱いていた。


「なんだかんだ、あの2人も上手くやってるだろ。浮気騒動はなんだったんだ?」


確かに別れてはいないが、私はあれからもずっと里穂に泣きつかれていたから、私以外に他に女はいるのかと疑っていた。それは翼にはもちろん話してない。


「…そ、そだね」
私は相槌を打つしかなかった。




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