セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
ドシッ
鞄が床に真っ逆さまに落ちた。店内に不気味な異様な雰囲気を漂わせる。
「り、里穂」
「……帰る」
里穂は、鞄を拾い上げ、アンティークな扉をものすごい勢いで開けて飛び出して行った。
「追いかけなよ、玲於」
私は必死で玲於の背中を押した。
「玲於?」
翼がポツリと呟いた。
私はハッとしていい直した。
「玲於君、早く。里穂頼むよ」
でも、玲於は立ち上がろうとはしなかった。
「なら、私が行く。翼、ごめんね」
私は、同じく、扉を勢いよく開けて店を飛び出した。