セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
時計の針は、23時を回っていた。
私が自ら、玲於を呼んだのは初めてかもしれない。


「明後日に入籍か?」
玲於は、何とも言い難い表情をしている。


「本当に出すのかまだ私は疑ってるけど…」
私は今日の食事の時の翼の様子を逐一話した。

「うーん、日曜日本当に翼が出そうとしたら阻止するんだぞ」


「うん、わかってる」
私は大きく頷いた。


「それにしても、何が狙いなんだ。奏音、心当たりはないのか?」


「全くないよ。玲於はない?」


「俺もわからない。そもそも妊娠ももしかしたら嘘なんじゃないか?」
玲於は、不快感を出しながらそう言ってきた。


「妊娠の検査薬結果見てないの?」
私は慌てて聞いた。


「見てない…里穂から聞いただけだ」


「えぇー?なら、妊娠、してないかも…してたら、見せるよ。検査薬とか病院でもらったエコー写真とか…」
私は顔が青ざめた。里穂が信じられなくなった。怖い。


「マジか?俺は、それも騙されてたのか?」

怒りをあらわにする玲於。


私達は、2人とも何が正しくて何が間違ってるのかさえわからなくなるほど、呆然と立ち尽くした。


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