セレブ結婚の甘い落とし穴【完】
「ねぇ、玲於と翼は、いつ知り合ったの?」
里穂は無造作に尋ねた。
「高校からだよ」
隣りの玲於が答えた。
それを機に、2人の会話は弾み、何やら猫のようにじゃれ合っていた。もはや2人の世界。
私と翼は完全に取り残された。
「つ、翼さん、車ピカピカですね」
勇気を出して話しかけてみた。
「翼でいいよ。俺も奏音って呼ぶから。いや?」
「い、いやじゃないです。わ、わかりました」
なれなれしくない?
今日、さっき会ったばかりだよ。
やっぱ女に慣れてるのかな?
本当はかなりびっくりしたが、とりあえず反論することも出来ず、合わせることにした。
「車はね、毎日大事に使ってるからね。車好きなの?」
「い、いえ、ドライブは好きです」
答えるのが精一杯の状況。
里穂、助けてー
イチャイチャしてないで。
「あははは」
眼鏡に手をかけながら、突然笑い出す翼。
「どうしましたか?」
私は慌てふためいた。
「困るよね…後部座席で、イチャイチャされたら?」
「………」
「まぁ、俺達は、俺達で楽しもうよ」
えぇー
里穂、聞いてる?
聞こえてないの?