月は紅、空は紫
手紙には『仁左衛門殺しについて、新たに由々しき事態あり。至急、御役所まで来られたし』とあった。
使いの者に、何事かあったのかと清空が尋ねてみると、
「はい……それが、今朝新たに死体が上がりまして……」
と、言葉が濁る。
仁左衛門殺しの件については、一応は下手人が敵討ちにより死亡という結果を迎えていた。
そこで、新たな死体が出てきて――それが『仁左衛門殺し』とまるで無関係ではないということだろう。
「私が検分せよ……という事でしょうか?」
清空が新たに尋ねるのだが、小野田は、
「さあ、私は歳平さまにこの手紙を渡すように託っただけでして――そこまでは聞き及んでおりません」
と、返すのみである。
何にせよ、中村が朝から清空を至急で呼び出すということは只事ではない。
それに、『仁左衛門殺し』について、と書いてある上に――清空には昨夜二匹の鎌鼬を逃してしまっているという大きな心当たりがある。
どうにも、大きな問題が発生してしまっている予感が清空には抑え切れなかった――。
使いの者に、何事かあったのかと清空が尋ねてみると、
「はい……それが、今朝新たに死体が上がりまして……」
と、言葉が濁る。
仁左衛門殺しの件については、一応は下手人が敵討ちにより死亡という結果を迎えていた。
そこで、新たな死体が出てきて――それが『仁左衛門殺し』とまるで無関係ではないということだろう。
「私が検分せよ……という事でしょうか?」
清空が新たに尋ねるのだが、小野田は、
「さあ、私は歳平さまにこの手紙を渡すように託っただけでして――そこまでは聞き及んでおりません」
と、返すのみである。
何にせよ、中村が朝から清空を至急で呼び出すということは只事ではない。
それに、『仁左衛門殺し』について、と書いてある上に――清空には昨夜二匹の鎌鼬を逃してしまっているという大きな心当たりがある。
どうにも、大きな問題が発生してしまっている予感が清空には抑え切れなかった――。