【短編】連鎖
ところがそんな詩織の心配する言葉に、
まさかの一言を口にする絵梨花、
その声は恐ろしいほど低く暗いものだった。

「何言ってんのよ詩織、
加奈が助かったりしたらあたし達がいじめにかかわっていた事がばれるでしょ、
出来ればこのまま助からない方が良いのよ」

「絵梨花それ本気で言ってるの?
助からないって事は、
立花さんはこのまま死んでしまうって事なのよ」

「そうよ、それがどうしたって言うの?
良いじゃない死ぬなら死んでしまえば、
その方があたし達にとっては都合がいいわ、
そもそも加奈が勝手に死のうとしたんじゃない」

「そんな言いぐさってある?
絵梨花達が加奈をいじめたりしなかったらこんな事にならなかったのが分からないの?
絵梨花がそこまで性根の腐った子だとは思わなかったわ」

「何言ってるの詩織、
あんただってあたし達があの子をいじめているのを知っていたくせに、
見て見ぬふりをしていただけじゃない、
あんたもあたし達と同罪よ!」

「確かにそうかもしれないわ、
でも仕方ないでしょ、
もし助けたりなんかしたら次のターゲットはあたしになるじゃない、
そんな事くらいあたしだってわかるわ、
それが怖かったのよ、
でも今となってはすごく後悔してるわ、
どうしてあの時助けてあげられなかったんだろうって」

「何今更言ってんのよ、
助けなかった時点であんたもあたし達と同罪なのよ」

ところがここで思わぬ人物が詩織の味方に付いた、
絵梨花と共に加奈をいじめていた美咲だ。
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