【短編】連鎖
「絵梨花あたしね、
もう絵梨花の事いじめるのやめたの」

「ほんとに?」

「ほんとよ、今までごめんなさいね」

「でもどうして突然やめるなんて言い出したの?
あたしはいじめが無くなって助かったけど……」

「実はね、夕べあたしの所に加奈が現れたのよ、
その時聞いたわ、
絵梨花の昨日の出来事、
あなたがそこまで追い詰められていたなんて思いもしなかった、
また取り返しのつかない事になってしまう所だったのね、
晴樹の言った通り加奈の二の舞になってしまう所だったわ」

「そう、美咲の所にも加奈が行ったの、
加奈ったら自分は自殺に追い込まれて命を落としてしまったくせに、
あたし達の事は助けてくれるのよ、
お人好しにも程があるよね」

「そうね、あたし達どうしてあんな良い子をいじめてしまったんだろう?」

「確かにね、詩織が言っていたように、
あたし達加奈を自殺に追い込んでしまった責任を、
一生背負って生きていかなければいけないのよね」

「そうね、あたし達大変な事をしてしまったんだって事がようやく分かったわ」

「でも今頃気付いても遅いのよね」

その後学校が終わると、
家に帰ろうとする絵梨花であったが、
この日もまた夜母親が帰ってくればまた暴力が待っているかと思うと、
憂鬱な気分に晒されていた。
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