【短編】連鎖
するとまず誰もいなくなった教室の、
隣同士の机を引き寄せ三つ並べそこに座らせると、
自らも前の席の椅子を後ろ向きにおくと、
その椅子に座る本間。
そんな本間に対し楓が尋ねる。

「先生なんですか?
あたし達に話って」

「楓、もう美咲をいじめるのはよせ、
先生分かってるんだぞ!
その前は美咲が絵梨花を、
更にその前は絵梨花が加奈をいじめていたよな?
それも絵梨花の時は楓も、
加奈の時は更に美咲も一緒にいじめていたよな、
これ以上はいじめの連鎖が続くだけだ、
もうこの辺でやめないと、
今度は楓がいじめられる事になるんじゃないか?」

ところがそんな本間の言葉に反論する楓。

「今まで見て見ぬふりしてたくせに、
先生になんであたしが美咲をいじめてるなんてわかるのよ」

「分かるんだよ、
教えてくれた奴がいるんだ」

「誰よ! そんな事チクッたの」

「加奈だ、お前達の所にも現れたんだってな?
先生の所にも夕べ来てな、
楓、お前の事心配してたぞ!
このままじゃ今度は楓がいじめられてしまうって……」

「加奈がそんな事言ってたの?」

「そうだ、だからもうやめるんだ!
それでこれは加奈の提案なんだけどな?
加奈へのいじめから自殺、
そしていじめの加害者であった絵梨花へのいじめ、
更に美咲へのいじめと、
このいじめの連鎖をマスコミに公表してくれないかって事なんだ。
キミ達の名前はもちろん伏せるが、
この事を公表しても良いかな?」

「どうしてわざわざそんな事する必要があるんですか?」

そんな絵梨花の問い掛けに応える本間。
< 60 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop