【短編】連鎖
この時絵梨花は、
加奈が亡くなった事で、
自分へのいじめがさらに激しくなるのではないかと恐怖を感じていた。

その予想は当たってしまい、
その後絵梨花へのいじめは日を追うごとに激しくなってしまった。

そしてこの日、
クラスのみんなで加奈の葬儀へと向かう事となったが、
それぞれに憂鬱な思いを抱えていた。

数多くの花が飾られた祭壇に立て掛けられた遺影の表情はとても明るく、
にこやかに笑みを浮かべたその表情からは、
とても彼女がいじめを受けていたなど思えなかった。

そして二年三組の焼香の順番が来たのだが、
順番に焼香をしている彼等それぞれに、
加奈の両親から鋭い視線を感じていた。

絵梨花や美咲たちもまるで何事もなかったかのように平然とした顔で焼香をしていると、
その様子に母親である美恵子の心にふつふつと怒りが込み上げてきた。

「何しに来たの?
良く来れたものね帰って、
あんた達なんでしょ加奈の事いじめたのは、
一体加奈をいじめていたのは誰なの?
加奈を返して、焼香なんかしてくれなくて良いから返してよ、
出来ないなら帰って、帰ってよ」

涙を流しながら訴える美恵子に対し、
本間以下二年三組の生徒たちは何も言う事が出来ず、
そんな美恵子の姿に彼らはその場を後にするしかなかった。
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