素直になれない
「ん?何?」
「だから、お前。」
「え?」
「鈍いな、ほんと。
俺と結婚、する?」
まさかの言葉に声が出ない。
「紫、泣いてんの?」
言われて初めて泣いていることに気付いた。
「ほんと、だ。
わたしでいいの?
もう嫌になっちゃったんじゃない?」
「逆にお前以外にだれがいるんだよ。」
「…、蒼也。」
「紫、ちょっとベッド起こして」
「あ、うん。待ってね!」
ベッドのリモコンで頭の方が上がるように
調整していった。
「いててて、っ」
「大丈夫!?」
「いーから、いーから。」
「これくらい?」
「うん、こっち。」
またわたしを引き寄せる。
「一回しか言わないからな。
よく聞けよ。
紫、好きだ。
俺と結婚して下さい。」